組織はなぜ変わらないのか

― 社長が「正しいこと」を言っても現場が動かない理由 ―

「方針は何度も伝えている」
「やるべきことは間違っていない」
「なぜ、現場は動かないのか分からない」

これは、多くの社長が一度は口にする言葉です。
そしてこの問いに対して、よくある答えはこうです。

  • 社員の意識が低い

  • 危機感が足りない

  • 変化を嫌がっている

  • 抵抗勢力がいる

しかし、結論から言います。
組織が変わらない原因は、社員の意識でも、能力でもありません。


「変わらない」のではなく、「変われない」

現場をよく観察すると、奇妙なことが起きています。

  • 社長の前では「分かりました」と言う

  • 会議では前向きな発言が出る

  • しかし、現場に戻ると何も変わらない

これはサボりでも反抗でもありません。
組織が“変われない状態”に固定されているだけです。

社員は、怠けているのではなく、
「今の組織で生き延びる最適行動」を選んでいるのです。


組織は「意思」ではなく「反応」で動く

ここが最も重要なポイントです。

社長はこう考えます。

正しい方針を示せば、
納得すれば、人は動くはずだ。

しかし、組織はそんなに理性的ではありません。

  • 過去に失敗すると責められた

  • 余計なことをすると仕事が増えた

  • 正論を言った人が孤立した

こうした経験の蓄積が、組織の中に「暗黙のルール」を作ります。

  • 目立たない方が安全

  • 前例を踏襲した方が楽

  • 新しいことは様子見

これが組織の反応パターンです。

つまり、社長の言葉より、過去の体験の方が行動を支配しているのです。


社長の「正論」が組織を固める瞬間

皮肉な話ですが、組織を変えようとして、社長がよくやってしまう行動があります。

  • 正論で詰める

  • 数字で論破する

  • 「なぜできない?」を繰り返す

すると、現場では何が起きるか。

  • 本音を言わなくなる

  • 問題を隠す

  • 無難な報告しかしなくなる

結果として、表面上は従順、内側は停滞という状態が出来上がります。

社長が真剣であればあるほど、組織は「守り」の姿勢を強めていくのです。


組織変革が失敗する会社の共通点

これまで多くの企業を見てきて、変革に失敗する会社には共通点があります。

それは、

「人を変えようとする」

というアプローチです。

  • 意識改革研修

  • モチベーション向上施策

  • 採用のやり直し

これらが無意味とは言いません。

しかし、組織の構造や空気を変えずに人だけを変えようとすると、必ず反発が起きます。

なぜなら、組織は人を“矯正”する装置だからです。

新しい人が入っても、数か月後には「その会社らしい人」になります。


組織を変えるとは、「見えない前提」を疑うこと

組織が変わらない本当の理由は、

  • 何が当たり前とされているのか

  • 何をすると損をするのか

  • 何をすると評価されるのか

  • 会社の目指す方向性が自分の気持ちと一致するか

これらが無意識の前提として固定化されているからです。

多くの場合、社長自身もその前提の中にいます。

だからこそ、組織変革は「施策」ではなく、構造と前提を見直す経営判断なのです。


変革の第一歩は「動かそう」としないこと

意外に思われるかもしれませんが、組織変革の第一歩は、

無理に動かそうとしないこと

です。

代わりにやるべきことは、

  • 組織が今、どう反応しているのかを見る

  • 何を恐れ、何を守ろうとしているのかを知る

  • 空気・風土・関係性を可視化する

組織を理解せずに変えることはできません。

いる。

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