「せっかく制度を作ったのに、社員が守らない」
「ルールを徹底しろと言っても、すぐに形骸化する」
…そんな経験はありませんか?
結論から言います。
ルールが守られないのは社員のせいではありません。制度そのものが“疲れている”のです。
制度疲れとは何か
制度疲れとは、作ったルールが現場に浸透せず、時間とともに形骸化していく現象です。
どんなに優れた仕組みでも、放置すれば“疲れ”がたまり、やがて誰も守らなくなる。
典型的なパターンはこうです:
トラブルが起きる
社長や管理職が「二度と起こすな」とルールを追加
現場は「また面倒が増えた」と反発
守られない → 再びルール強化
雪だるま式に“制度疲れ”が進行
結果、**ルールはあるのに誰も守らない“お飾り制度”**が出来上がります。
ルールが守られない3つの理由
1. 現場の実態と乖離している
机上の空論で作られたルールは、現場にとって「守りようがない」。
たとえば「お客様には必ず24時間以内に返信」と決めても、少人数で回している現場には不可能です。
社員はやがて「どうせ守れない」と諦め、制度全体を軽視するようになります。
2. 「罰則」で縛ろうとする
ルール違反をするとペナルティ、評価を下げる、叱責する。
こうしたやり方は一時的に効いても、長続きしません。
人は罰では動きません。「納得」と「信頼」で動くのです。
罰で縛ると、社員は「バレなければいい」と考え始め、むしろ隠蔽が横行します。
3. ルールが増えすぎて誰も覚えていない
制度疲れの会社は、とにかくルールが多い。
入社1年目の社員に「社内規定を全部理解しているか?」と聞けば、答えは必ず「いいえ」です。
つまり、守れない量のルールを抱えている時点で、制度は破綻しています。
守られる制度に必要なのは「納得感」
ルールが守られるかどうかは、制度の巧妙さではなく、社員の「納得感」にかかっています。
なぜこのルールが必要なのか
このルールを守ると、自分やお客様にどんなメリットがあるのか
守ることで、会社全体にどんな成果が出るのか
ここを説明せずに「守れ!」と叫ぶのは、単なる押し付けです。
社員が納得していないルールは、必ず無視されます。
制度疲れを防ぐ3つの視点
ルールは最小限に絞る
「なくても回るルール」は作らない。運用を現場と一緒に考える
「守れるルールかどうか」を現場でテストしてから導入する。定期的にルールを壊す
制度は一度作ったら終わりではない。時代や規模に合わせて“壊す勇気”を持つ。
自社を見渡してみよう
あなたの会社のルールは、社員にとって 「守る価値がある」 と胸を張って言えますか?
もし「いや、正直…」と答えるなら、もう制度疲れは始まっています。
ルールは作るよりも、捨てるほうが経営の腕が試される。
制度疲れを放置すれば、会社は確実に“ルール無視”の文化に沈んでいきます。