「売上はある。仕事もある。忙しい。それなのに、なぜか利益が残らない。」
前回の記事では、この状態の原因が「現場」ではなく
“判断の構造”にあることをお伝えしました。
では、その構造とは一体何なのか。
今回は、利益が出ない会社に共通する
**“たった1つの構造”**について、踏み込んで解説します。
■ 利益が出ない理由は複雑ではない
多くの社長は、利益が出ない理由を複雑に考えます。
・原価が高いから
・人手不足だから
・景気が悪いから
・競争が激しいから
もちろん、これらは無関係ではありません。
しかし、どの会社にも共通して存在する
もっとシンプルで、しかし致命的な構造があります。
それが、
「判断が分断されている」構造です。
■ 利益は「一貫した判断」でしか生まれない
利益とは何か。
それは単純に言えば、
「最初の想定と、最後の結果の差」
です。
つまり、
・いくらで受注するか
・どれくらいの原価でやるか
・どのような進め方をするか
これらの判断が、最初から最後まで一貫していなければ、
利益は崩れていきます。
しかし現実はどうか。
多くの会社では、この判断がバラバラに行われています。
■ 典型的な「分断された判断」の流れ
例えば、次のような流れです。
① 営業が受注を取る
→ 受注を優先し、やや無理な条件でも契約する
② 見積担当が原価を組む
→ 過去の感覚や経験でざっくり作る
③ 現場が工事を進める
→ 実態に合わせて臨機応変に対応する
④ 経理が結果を集計する
→ 終わってから利益を確認する
一見、普通の流れに見えます。
しかし、この中で決定的な問題が起きています。
■ 「誰も利益に責任を持っていない」
この流れでは、
・営業は受注に責任を持つ
・見積は数字に責任を持つ
・現場は工事に責任を持つ
・経理は集計に責任を持つ
それぞれが自分の役割を果たしています。
しかし、
“利益そのもの”に責任を持つ人がいない
のです。
その結果どうなるか。
全体としては、誰も間違っていないのに、
最終的に利益だけが消えていく。
これが、利益が出ない会社の正体です。
■ なぜ分断が起きるのか
では、なぜこのような分断が起きるのでしょうか。
理由はシンプルです。
判断の基準が共有されていないからです。
例えば、
・どの案件を受けるべきか
・どのくらいの利益を確保するべきか
・どの条件なら赤字になるのか
これらが明確でなければ、各部門はそれぞれの判断で動きます。
営業は「取れる案件を取る」
現場は「回せるようにする」
その結果、全体最適ではなく、
部分最適の積み重ねになります。
■ 部分最適が利益を破壊する
部分最適は、一見すると合理的です。
・営業は受注を増やす
・現場は効率よく回す
・コストは削減する
しかし、これらがバラバラに行われるとどうなるか。
例えば、
営業が無理な価格で受注する
→ 現場がそのしわ寄せを受ける
→ 工数が増え、原価が上がる
→ 利益が消える
このように、一つの最適が、全体の損失を生むのです。
■ 「頑張っているのに儲からない」構造
この状態が続くと、会社はこうなります。
・みんな頑張っている
・現場も忙しい
・仕事も増えている
それなのに、
・利益が出ない
・お金が残らない
・余裕がない
つまり、
努力と結果が一致しない状態
になります。
これは、現場の問題ではありません。
構造の問題です。
■ 利益が出る会社は何が違うのか
では、利益が出る会社は何が違うのでしょうか。
違いは一つです。
「判断がつながっている」こと
です。
・受注時に利益ラインを明確にする
・見積でそのラインを守る
・現場でズレを検知する
・途中で修正する
この一連の流れが、一本の線でつながっています。
つまり、
最初から最後まで“同じ意思”で動いている
のです。
■ 社長の役割は「判断をつなぐこと」
ここで重要なのが、社長の役割です。
多くの社長は、
・売上を伸ばす
・人を管理する
・現場を見る
といったことに意識が向いています。
しかし、本来やるべきことはそこではありません。
**「判断をつなぐこと」**です。
・どの案件を取るのか
・どの利益を狙うのか
・どの時点で修正するのか
この基準を明確にし、全社で共有する。
これができて初めて、
利益は安定して出るようになります。
■ ITを入れても変わらない理由
ここでよくあるのが、
「システムを入れたのに変わらない」というケースです。
原価管理システム
工程管理ツール
日報アプリ
これらを導入しても、利益が出ない会社は多い。
なぜか。
構造が変わっていないからです。
・判断が分断されたまま
・責任が曖昧なまま
・基準が共有されないまま
この状態でツールを入れても、
ただの「見える化」で終わります。
■ 本当に変えるべきは「流れ」
多くの会社は、「何を導入するか」を考えます。
しかし重要なのはそこではありません。
**「どう判断が流れるか」**です。
・誰が
・いつ
・何を見て
・どう判断するのか
この流れを設計しなければ、利益はコントロールできません。
これも仕組み作りの一環です。
■ まとめ
利益が出ない会社に共通する“たった一つの構造”。
それは、
「判断が分断されていること」
です。
・営業は営業の判断
・現場は現場の判断
・経理は経理の判断
これでは、利益は偶然にしか残りません。
必要なのは、
判断をつなぐこと。
最初から最後まで、一貫した意思で動くこと。
これができたとき、初めて「売上はあるのに利益が残らない」状態から抜け出せます。