― 社長が「正しいこと」を言っても現場が動かない理由 ―
「方針は何度も伝えている」
「やるべきことは間違っていない」
「なぜ、現場は動かないのか分からない」
これは、多くの社長が一度は口にする言葉です。
そしてこの問いに対して、よくある答えはこうです。
社員の意識が低い
危機感が足りない
変化を嫌がっている
抵抗勢力がいる
しかし、結論から言います。
組織が変わらない原因は、社員の意識でも、能力でもありません。
「変わらない」のではなく、「変われない」
現場をよく観察すると、奇妙なことが起きています。
社長の前では「分かりました」と言う
会議では前向きな発言が出る
しかし、現場に戻ると何も変わらない
これはサボりでも反抗でもありません。
組織が“変われない状態”に固定されているだけです。
社員は、怠けているのではなく、
「今の組織で生き延びる最適行動」を選んでいるのです。
組織は「意思」ではなく「反応」で動く
ここが最も重要なポイントです。
社長はこう考えます。
正しい方針を示せば、
納得すれば、人は動くはずだ。
しかし、組織はそんなに理性的ではありません。
過去に失敗すると責められた
余計なことをすると仕事が増えた
正論を言った人が孤立した
こうした経験の蓄積が、組織の中に「暗黙のルール」を作ります。
目立たない方が安全
前例を踏襲した方が楽
新しいことは様子見
これが組織の反応パターンです。
つまり、社長の言葉より、過去の体験の方が行動を支配しているのです。
社長の「正論」が組織を固める瞬間
皮肉な話ですが、組織を変えようとして、社長がよくやってしまう行動があります。
正論で詰める
数字で論破する
「なぜできない?」を繰り返す
すると、現場では何が起きるか。
本音を言わなくなる
問題を隠す
無難な報告しかしなくなる
結果として、表面上は従順、内側は停滞という状態が出来上がります。
社長が真剣であればあるほど、組織は「守り」の姿勢を強めていくのです。
組織変革が失敗する会社の共通点
これまで多くの企業を見てきて、変革に失敗する会社には共通点があります。
それは、
「人を変えようとする」
というアプローチです。
意識改革研修
モチベーション向上施策
採用のやり直し
これらが無意味とは言いません。
しかし、組織の構造や空気を変えずに人だけを変えようとすると、必ず反発が起きます。
なぜなら、組織は人を“矯正”する装置だからです。
新しい人が入っても、数か月後には「その会社らしい人」になります。
組織を変えるとは、「見えない前提」を疑うこと
組織が変わらない本当の理由は、
何が当たり前とされているのか
何をすると損をするのか
何をすると評価されるのか
会社の目指す方向性が自分の気持ちと一致するか
これらが無意識の前提として固定化されているからです。
多くの場合、社長自身もその前提の中にいます。
だからこそ、組織変革は「施策」ではなく、構造と前提を見直す経営判断なのです。
変革の第一歩は「動かそう」としないこと
意外に思われるかもしれませんが、組織変革の第一歩は、
無理に動かそうとしないこと
です。
代わりにやるべきことは、
組織が今、どう反応しているのかを見る
何を恐れ、何を守ろうとしているのかを知る
空気・風土・関係性を可視化する
組織を理解せずに変えることはできません。
いる。