中小企業の現場では、
「ミス=ダメなこと」
という空気が根強く残っています。
しかし、冷静に考えてみてください。
あなたの会社でミスがなくならないのは「社員がだらしない」からではありません。
“ミスが起きる仕組みのまま”になっているからです。
ミスをゼロにすることはできません。
でも、ミスを“学び”に変えることはできます。
この記事では、
「ミスを許容する文化」「再発しない仕組み」「挑戦を後押しする風土」を、どう作るかを解説します。
■ 1. ミスが起こる会社と成長する会社の決定的な違い
同じミスが発生しても、会社によってその後の反応は大きく異なります。
❌ ダメな会社:
犯人探し → 注意 → 同じミスが再発
– 原因の深掘りなし
– マニュアルは変わらず
– 当事者だけが悪者扱い
– 現場が萎縮し、さらにミスが増える
結果、
「ミスしたら怒られるから言わない」
「見つからないように隠す」
という最悪の流れへ。
⭕ 良い会社:
仕組みの問題として扱い、改善を積み上げる
– まず仕組みを疑う
– 再発防止策を“現場と一緒に”作る
– 個人ではなくプロセスに焦点を当てる
– 小さな改善が習慣化する
結果、
「言いやすい → 改善される → 失敗が減る」
という好循環が生まれます。
■ 2. ミスを許容する企業が必ず持っている3つの仕組み
① “責任追及の前に仕組みを疑う”フロー
ミスが起きたら、まずこう問います。
この手順は複雑すぎないか?
チェックポイントは適正か?
人の判断に頼りすぎていないか?
作業環境に無理はなかったか?
個人よりプロセスを先に見る。
これだけで空気は変わります。
② 報告しやすい“心理的安全性”
ミス報告を上げると怒られる会社は、改善が進みません。
逆に、
「報告してくれて助かった」
と返す会社は、品質が上がります。
報告しやすさを決めるのは、社長や管理者の一言です。
③ 小さく早く改善する文化
ミスが起きても、
“会議待ちの改善” をしている会社は事故が繰り返されます。
重要なのは、
1〜3日で反映できる小改善を回すこと。
・マニュアル1行追加
・チェック項目を1つ足す
・貼り紙を変える
・順番を変える
こうした “即実行” が再発率を劇的に下げます。
■ 3. ミスを学びに変える ― すぐにできる実践ステップ
STEP1:ミスを「仕組みのエラー」と定義する
「誰が悪い」ではなく
「どのプロセスが悪い?」に切り替える。
STEP2:現場に必ずヒアリングする
実際にエラーが発生した現場の担当に確認する。
当事者が“本当の原因”を知っている。
ただし、隠そうとする場合もあるので、注意が必要。
STEP3:暫定対策を30分以内で決める
長い議論=先送りの温床。まずは、発生している原因を解消する対策を考える。
ここでの対策は、直接的原因への対策で、根本原因の調査までは行わない。
暫定対策はあくまで初期消火で、スピードが大切です。
ただし、2次災害を発生させないように注意が必要。
STEP4:恒久対策を60分以内で決める
ここから、本当の原因「どこが本当に悪いのか?」を深堀していきます。
ここで絶対にしてはいけないことは、「なぜミスをしたのか?」「この人のスキルが低いのが原因だ!」といった人に起因する分析は意味がありませんので、止めましょう。
必ず、プロセスについての問題として扱います。
STEP5:改善を“見える化”して共有
「変わったこと」が見えないと文化は定着しない。
■ 4. ミスを許容する会社は、挑戦する社員が育つ
ミスを許容する文化=甘やかしではありません。
むしろ逆です。
ミスを許容できる会社ほど、
社員が 「これ、やってみたい」 と言い始めます。
挑戦が増える会社には共通点があります。
「失敗しても、次に生かせる」
という信頼感がある。
これが、成長スピードを飛躍的に高めます。
■ 5. 最後に ― 社長、ミスが減らない“根本原因”は何だと思いますか?
それは、
社員のスキル不足でも、やる気不足でもありません。
“ミスが見える仕組み”と“改善を回せる文化”がないからです。
社長が少し意識を変えるだけで、
会社全体の事故・ミス・トラブルは劇的に減ります。
「ミスしたら終わり」ではなく、
「ミスしたら改善のチャンス」
という会社に変えていきましょう。