― 評価基準が曖昧だと、社員はどこに向かって努力すべきか分からない ―
あなたの会社では、社員の評価基準が明確に定まっているでしょうか?
「評価基準が曖昧で、社員が自分の努力がどこに向かっているのか分からない」と感じている経営者は少なくありません。
多くの中小企業では、社員に対する評価の仕組みがあいまいなまま放置されていることがあります。その結果として、社員のモチベーションが下がり、最終的には「自分の仕事に責任を持たない」状態が広がってしまうことも。
この記事では、評価基準の不明確さが社員の無責任な行動を生み出してしまう理由と、その改善策について解説します。
評価基準が曖昧だと、社員は何をすればいいか分からない
評価の基準がはっきりしないと、社員は「どんな行動が評価されるのか」「何を成果として求められているのか」が分かりません。
たとえば、目標が「売上を上げる」だけだった場合、どうやって? 何を使って? という部分が不明確になってしまいます。
そうなると、社員は自己流の方法で取り組んだり、的外れな努力を続けてしまったりします。
つまり、「方向が示されていない中で頑張る」ことは、社員にとってストレスであり、やがて無気力や責任放棄へとつながってしまうのです。
評価の不公平感が、組織の信頼を崩す
評価基準がはっきりしていないと、社員同士の間で不公平感が生まれます。
同じように努力しているつもりでも、なぜあの人だけが評価されるのか? なぜ自分は認められないのか?――こうした疑問が募っていくと、社内に「どうせ評価なんて上司の好みだ」という諦めや不満が生まれてきます。
そして、社員は周囲と比較するようになり、本来の仕事に対する責任や集中力を失っていくのです。
この状態では、組織全体のパフォーマンスも落ち込んでしまいます。
評価されない努力は、やがて“やる気の欠如”へ
どれだけ努力しても、その頑張りが評価されなければ、社員は「頑張っても無駄だ」と感じます。
この「努力が報われない」状態が続くと、社員は自分の仕事に無関心になり、行動も受け身になっていきます。
「どうせ評価されないから、最低限のことだけやればいい」
そんな考えが広がれば、組織の中に“責任感のない人”が増えてしまうのは避けられません。
評価基準の曖昧さは、組織の方向性のズレを生む
評価の軸がはっきりしていないと、部署ごと・人ごとに「重要視していること」がバラバラになります。
営業部は売上にこだわり、総務はコスト削減を重視する――これは一見当たり前に見えて、実は危険です。
組織として一つの目標に向かって進むには、「何を最優先で評価するのか」を全社的に揃えておく必要があります。
それがないと、チームワークや連携は崩れ、やがて責任のなすり合いのような状態になってしまいます。
評価基準を明確にすれば、社員は責任を持ち始める
逆に、評価基準が明確になると、社員は「自分が何をすべきか」をはっきりと理解できます。
評価のルールがはっきりしていれば、自分の行動がどのように評価されるのかが見えるため、やる気にもつながります。
また、自分の仕事がどのように会社に貢献しているかを実感できれば、仕事への誇りや責任感も自然と高まってきます。
評価基準を明確にするための3ステップ
では、どうすれば社員にとって納得感のある評価制度をつくれるのでしょうか?
次の3ステップを意識して取り組むのが効果的です。
1. 目標設定を具体化する
「頑張る」や「成果を出す」といった抽象的な目標ではなく、「○月末までに売上〇万円達成」「顧客満足度を〇%以上にする」など、数値で測れる具体的な目標にします。
2. 評価項目を全社員と共有する
評価の軸を社内にオープンにすることで、社員は自分がどこを見られているのかを理解できます。
「成果」「行動」「姿勢」など、複数の観点からバランスよく評価する仕組みが望ましいです。
3. 定期的なフィードバックを行う
評価は一方通行ではなく、社員との対話を通じて行うべきです。
評価の理由や改善点を伝え、次の行動に活かしてもらいましょう。
まとめ:評価制度は、社員の行動と責任感をつくる仕組み
評価基準が不明確だと、社員は自分が何をすべきか分からず、無責任な行動に流れてしまいます。
逆に、評価基準が明確で、納得感のあるものであれば、社員はモチベーションを持って責任ある行動を取るようになります。
経営者として大切なのは、「人を評価すること」ではなく、「評価されることがやる気につながる仕組みをつくること」です。
次回は、「無駄な会議を減らすためには、会議の目的を再定義すべき」をテーマに、
会議の生産性が下がってしまう原因とその改善方法についてお届けします。