― トップの意図が伝わらない、その根本的な原因とは ―
トップダウンの指示が効かない現場
「トップダウンで指示を出しているのに、なぜか現場が動かない」
こんな悩みを抱える社長は少なくありません。
トップダウン指示とは、会社のトップから現場に対して命令や指示を出す形態ですが、これがうまく機能しない場面は意外と多いものです。
たとえば、こんな状況はありませんか?
・トップが「これをやれ」と指示したにもかかわらず、現場がその指示を無視したり、後回しにする
・明確な指示を出したのに、指示通りに進まない
・社長の意図が現場に伝わっていないように感じる
なぜ、トップダウンの指示が現場で効かないのでしょうか?
その原因を深掘りしてみましょう。
理解不足
いくら明確に指示を出しても、それが現場に正確に伝わっていなければ意味がありません。
何を求めているのか、なぜそれが重要なのかをしっかり伝えなければ、現場は「ただの命令」として受け取ってしまいます。
たとえば、新しいプロジェクトを立ち上げる際に社長が「○○をやってくれ」と指示しても、意図が伝わらなければ、現場は形だけの作業に取り組むだけになり、プロジェクトは進まなくなります。
トップと現場の距離
トップと現場には、物理的・役職的な距離がどうしてもあります。
社長は戦略的な視点で指示を出す一方で、現場は実務的な視点で動いています。
この視点の違いから、「その指示はなぜ必要なのか」「自分たちの役割は何か」といった問いに答えられないと、現場は消極的になってしまいます。
社員の本音を無視していないか?
トップの指示が正しくても、現場の社員が感情的に納得していなければ動きません。
たとえば、日々忙しい中で「これも追加でやれ」と言われたら、負担感や不満を覚えてしまいます。
こうした感情が積み重なると、次第にトップの指示に対する反応が鈍くなっていきます。
抽象的な指示では動けない
「もっと売上を上げろ」
「この仕事を早く終わらせろ」
こうした指示はあまりに抽象的です。現場の人は、どこからどう手をつけて良いのかが分からなくなります。
また、「今月中に全部終わらせろ」といった非現実的な目標では、やる気そのものがなくなってしまいます。
現場の意見を反映しているか?
現場の声を無視して一方的に指示を出していないでしょうか。
現場の社員は、日々の業務を通じて実際の課題や問題点を把握しています。
そうした意見が無視されていると、指示は単なる「理想論」に聞こえ、現場は動きません。
「現場が何に困っているのか」「リソースは足りているのか」など、背景を踏まえた上での指示が必要です。
コミュニケーション不足
トップの指示がそのまま現場に伝わるとは限りません。
伝言ゲームのように、誰かを通して伝えた指示は、途中で意味が歪んでしまうこともあります。
・間に人を挟むことでニュアンスが変わる
・時間差で伝わってタイミングを逸する
・現場からのフィードバックがトップに戻らない
こうしたズレがあると、現場は「分からないからやらない」「自分には関係ない」と感じてしまいます。
現場のモチベーションを引き出すには
明確な指示があっても、現場に動く意欲がなければ、結果はついてきません。
指示が「現場にとってどう意味があるか」を示すことが大切です。
たとえば、
・なぜこの指示が必要なのかを丁寧に説明する
・社員一人ひとりの役割を具体的に示す
・結果を共有し、フィードバックをきちんと行う
このような工夫が、現場の納得と行動を引き出します。
まとめ:効果的なトップダウンのために
トップダウンの指示がうまく機能しない背景には、理解不足や距離感、感情的な抵抗、指示の抽象性、現場の意見軽視、コミュニケーション不足など、さまざまな要因があります。
これらを解決するには、現場との丁寧なコミュニケーション、具体的で実行可能な指示、現場の声を反映した内容、そして納得感を高める伝え方が必要です。
現場が動かないのは「能力がないから」ではなく、「納得していないから」です。
現場を動かすには、信頼と理解、そして共感を土台にしたトップの姿勢が求められます。
次回は、「“評価基準”が不明確な会社ほど、社員が無責任になる理由」についてお届けします。評価制度の課題と、社員が自ら行動できるようになる改善策を掘り下げていきます。