― 経営が“終わらない仕事”である本当の理由
「一つ問題を片付けたと思ったら、
また別の問題が出てくる」
経営をしていると、誰もが一度はこう感じます。
人材の問題を整えたら、次は売上の壁
業務を効率化したら、社員の主体性が下がる
組織を安定させたら、今度は成長が鈍る
社長としては、
「いつになったら落ち着くんだ」
という感覚になるかもしれません。
しかし、これは経営がうまくいっていないサインではありません。
むしろ逆です。
「課題が消えない会社」と「成長していない会社」
まず押さえておきたい前提があります。
課題が出続ける会社=問題の多い会社
ではありません。
むしろ危険なのは、
目立った課題がない
何となく回っている
大きな不満も出てこない
こうした状態です。
それは多くの場合、
変化も成長も止まっている状態
だからです。
課題が生まれるのは「前の前提が壊れたとき」
経営上の課題は、ランダムに発生しているわけではありません。
必ず、
「これまで正しかった前提」が機能しなくなったとき
に表面化します。
例① 少人数時代の前提
社長が全体を把握できる
阿吽の呼吸で回る
細かい仕組みはいらない
この前提は、10人規模では正解です。
しかし20人、30人になると、
情報が届かない
判断が遅れる
認識がズレる
という新しい課題が必ず出てきます。
例② 改善後に生まれる“次の問題”
ITを入れて効率化 → 現場の裁量が減る
役割を明確化 → 部署間が分断される
ルールを整備 → 思考停止が起きる
これは失敗ではありません。
**「一段階、組織が進んだ結果としての副作用」**です。
課題は「線」ではなく「階段」で現れる
多くの社長が無意識にこう考えています。
課題Aを解決
→ 安定
→ しばらく平穏
しかし現実は違います。
課題Aを解決
組織のステージが変わる
これまで見えなかった課題Bが見える
経営の課題は直線ではなく、階段状に現れます。
だから、
課題が出る=前に進んだ
という側面が必ずあります。
社長が一番しんどくなる瞬間
一番しんどいのは、次の局面です。
昔のやり方では通用しない
でも新しい正解はまだ見えない
社員に聞いても答えは出ない
このとき社長は、
「自分の判断が間違っているのではないか」
と孤独になります。
しかし実際には、
判断力の問題ではなく、“整理相手がいない”だけ
というケースがほとんどです。
課題を「潰す」と、経営は苦しくなる
ここでよくある落とし穴があります。
課題をなくそう
問題をゼロにしよう
この発想です。
経営において、
課題は“解消するもの”ではなく
“扱い続けるもの”
です。
重要なのは、
今の課題は、どの前提が崩れた結果なのか
これは成長痛なのか、構造不良なのか
次の一手は「対処」か「設計変更」か
を見極めることです。
経営者に必要なのは「答え」より「整理」
課題が次々に出るとき、
社長に必要なのは新しいノウハウではありません。
課題同士の関係
時間軸で見た変化
組織ステージとの対応
これを経営目線で整理することです。
一人で考えていると、
重要度が分からなくなる
すべてが緊急に見える
判断に自信が持てなくなる
だからこそ、
答えを出す相手ではなく、整理を一緒にする相手
が必要になります。
最後に
課題がなくならないのは、
社長のやり方が悪いからではありません。
会社が生きて、動いて、変わっている証拠
です。
ただし、
整理せずに走り続けると、
成長痛と構造不良の区別がつかなくなります。
そこを切り分けられるかどうかで、
経営のしんどさは大きく変わります。
経営課題が「連鎖して見える」社長へ
もし今、
課題が多すぎて、優先順位が分からない
解決したはずなのに、また別の問題が出てきた
IT・人・組織の話が絡み合っている
そんな状態であれば、
一度すべてを経営目線で整理する時間が有効です。
結論を急がなくて構いません。
まずは「今、何が起きているのか」を言語化するところから始めましょう。