データは嘘をつく

― “見える化”で誤解が生まれるとき

「まずは見える化だ」
ITやDXの話になると、必ず出てくる言葉です。

確かに、
数字が見えなければ判断はできません。

しかし、ここで一つ、
社長にとって都合の悪い事実があります。

データは、平然と嘘をつきます。

正確に言えば、
嘘をついているように“見える”判断を生みます。


見える化=理解、ではない

多くの会社で、
ダッシュボードやレポートが整備されると、
社長は安心します。

  • 売上が見える

  • 利益が見える

  • 進捗が見える

しかし、ここで問いを一つ。

それを見て、何を決めるのか決まっていますか。

見えることと、
使えることは、まったく別です。


データは「事実」ではない

誤解されがちですが、
データは事実そのものではありません。

データとは、

  • 何を測るかを決め

  • どう集めるかを決め

  • どう加工するかを決めた

結果です。

つまり、
その時点で、
すでに人間の意図が混ざっています。

見えている数字は、

現実の“切り取り方”に過ぎない

のです。


「正しい数字」が、間違った判断を生む

ここで、よくある光景を紹介します。

  • 売上は伸びている

  • 利益率も悪くない

  • 数字上は順調

しかし、

  • 現場は疲弊している

  • 属人化が進んでいる

  • 将来の芽が育っていない

数字は、
こうした兆しをほとんど映しません。

なぜなら、

測っていないからです。


見える化が組織を壊す瞬間

見える化には、副作用があります。

それは、

人が「数字に合わせて動く」ようになる

ことです。

  • 評価される数字だけを守る

  • 数字が悪くなる行動を避ける

  • 数字に出ない仕事をやらなくなる

結果、

  • 本来やるべき改善が後回しになる

  • 長期的な投資が嫌われる

  • 組織が短期志向になる

これは、
データ活用の失敗ではありません。

データ設計の失敗です。


ダッシュボードは「問い」を奪う

データが整うほど、
社長の口数が減ることがあります。

  • 「数字は見ているから」

  • 「だいたい分かっている」

しかし、それは危険な兆候です。

データは、

問いを立てるための材料

であって、
答えそのものではありません。

問いが減った経営は、
静かに劣化します。


データに支配される会社の特徴

見える化が進んでいるのに、
経営がうまくいかない会社には、
共通点があります。

  • データを見る目的が曖昧

  • 「何を決めるための数字か」が不明

  • 数字を見て終わっている

結果、

データが経営を導くのではなく、
経営がデータに縛られる

状態になります。


社長が見るべきなのは「数字の裏」

社長が本当に見るべきものは、
数字そのものではありません。

  • なぜ、その数字になったのか

  • 何が見えていないのか

  • 次に何を試すべきか

これらを考えるために、
データは存在します。

見える化とは、
思考を止めるための装置ではない

のです。


データを「武器」に変える条件

データを武器にできる会社は、
次の条件を満たしています。

  1. 見る数字を絞っている

  2. 決断と紐づけている

  3. 定期的に「意味」を問い直している

データ量が多いかどうかは、
本質ではありません。

判断の質が上がっているか
それだけです。


結論:データは嘘をつく、だから使える

皮肉な話ですが、
データは「嘘をつく」からこそ価値があります。

現実をそのまま映さないから、
人は考えます。

  • 何が抜けているのか

  • 何を測り直すべきか

  • どんな仮説を立てるべきか

この思考を促せないデータは、
ただの飾りです。

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