― 属人化を生む“報連相の壁”
「Aさんがいないと、この仕事は分からない」
「その話、なぜ今まで上がってこなかった?」
会社がある程度の規模になると、
多くの社長が情報共有の壁にぶつかります。
情報が一部の人に止まる
報告が遅い、もしくは上がってこない
問題が起きてから初めて知る
その結果、仕事はどんどん属人化していきます。
情報共有ができないのは「仕組み不足」だけではない
この問題に対して、よくある対策はこうです。
報連相を徹底しよう
会議を増やそう
ITツールを導入しよう
もちろん、これらが必要な場合もあります。
しかし多くの現場では、
仕組みを整えても、なぜか共有されない
という状態が続きます。
理由はシンプルで、
報連相が「行動」ではなく「リスク」になっているからです。
現場で起きている“見えない心理”
社員が情報を出さなくなるとき、
頭の中ではこんなことが起きています。
余計なことを言って、責任を負いたくない
判断が間違っていたら評価が下がる
結局、決めるのは上司や社長
つまり、
報告する=自分の判断を差し出す行為
になっているのです。
この状態では、
正解が確信できる情報しか上がらない
問題が「問題になるまで」放置される
判断は経験者に集中する
結果として、属人化が進みます。
属人化は「優秀な人」が原因ではない
属人化というと、
「仕事を抱え込む人が悪い」
と思われがちです。
しかし実際には、
その人しか判断できない
その人しか全体を知らない
他の人が踏み込むと、却下される
という組織の構造が背景にあります。
優秀な人ほど、
「自分がやった方が早い」
と判断し、結果的に仕事を抱えます。
これは個人の問題ではなく、
報連相が機能しない環境が作り出した結果です。
社長が無意識に作っている「報連相の壁」
ここで、社長側の視点も重要です。
多くの社長は、
早く結論を出したい
本質を突きたい
無駄な話を嫌う
その結果、
話が長いと遮る
結論が弱いと否定する
最終的に自分の判断を出す
こうしたやり取りが続くと、
社員は学習します。
「考え途中の話は、持っていかない方がいい」
これが報連相の壁です。
情報共有が回り始める組織の共通点
情報共有ができている組織では、
次の点が明確です。
どこまでが「共有」で、どこからが「判断」か
途中段階の情報を出しても、責められない
判断の質より、「早く出すこと」が評価される
ここで重要なのは、
報連相の目的が「正解」ではなく「共有」になっている
という点です。
属人化を解消する第一歩
属人化を解消しようとして、
いきなり業務分解やマニュアル化を進めると、
うまくいかないことが多いです。
その前にやるべきなのは、
「なぜ、その情報が上がってこないのか」を言語化すること。
上げにくい話題は何か
どのタイミングで止まっているのか
誰が、何を恐れているのか
ここを整理しない限り、
仕組みを入れても形だけになります。
最後に
情報共有ができない会社は、
「意識が低い」のではありません。
共有すると損をする構造
が残っているだけです。
その構造を見直さずに、
「もっと報連相を」と言っても、
現場は動きません。
属人化に違和感を感じている社長へ
もし今、
特定の人に仕事が集中している
情報が後出しになる
ITを入れても、結局人に依存している
そんな状態であれば、
**問題はITでも、社員でもなく「経営の整理不足」**かもしれません。
属人化・報連相・判断の話を、
一度「全社視点」で整理してみると、
次に打つ手は自然と見えてきます。